社債の買い方・購入方法は?新発債と既発債で違う

個人が一般的な社債を購入するときは、証券会社などを通じて購入する方法が基本です。ただし、すべての証券会社ですべての社債を購入できるわけではありません。

新しく発行される社債を購入する流れ

  1. 証券会社などで口座を開設する
  2. 取扱中の社債を確認する
  3. 利率・期間・格付け・最低購入金額・リスクを確認する
  4. 目論見書などの資料を確認する
  5. 募集期間中に申し込む
  6. 購入代金を入金する
  7. 発行後、利払日に利息を受け取り、満期まで保有すれば償還を受ける

人気の高い個人向け社債では募集額を上回る申し込みが入り、抽選になったり、募集期間終了前に受付が終了したりすることもあります。

既に発行されている社債を買う方法

すでに発行された社債を証券会社の店頭取引などで購入できる場合もあります。これを既発債の購入といいます。

既発債は市場環境に応じて価格が変動しているため、額面100万円の社債を必ず100万円で買えるとは限りません。購入価格によって実際の利回りも変わるため、利率と購入価格の両方を確認する必要があります。

日本証券業協会では、個人向け社債等について参考価格や利回りに関する情報も公表しています。ただし参考価格であり、その価格で売買できることを保証するものではありません。

社債の税金と確定申告はどうなる?

一般的な国内公募社債などの「特定公社債」の利子には、原則として20.315%の税金がかかります。内訳は所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%です。

たとえば税引前で年間2万円の利息を受け取る場合、単純計算では約4,063円が税金として差し引かれ、税引後の受取額は約1万5,937円となります。

特定公社債の利子は支払い時に源泉徴収され、確定申告をしないことも選択できます。一方で、申告分離課税として確定申告することも可能です。

また、特定公社債を売却した際の利益や一定の償還差益は、原則として上場株式等に係る譲渡所得等として申告分離課税の対象になります。

特定公社債の売却で損失が出た場合には、条件を満たせば上場株式等の譲渡益や申告分離課税を選択した配当・特定公社債の利子などと損益通算できる場合があります。さらに一定の要件のもとで、控除しきれない損失を翌年以後3年間繰り越せる制度もあります。

ただし、社債の種類、口座区分、発行方法、保有者と発行会社との関係などによって税務上の扱いが異なる場合があります。具体的な申告については国税庁の最新情報や税務署、税理士などで確認してください。

社債発行の手続き・流れは?企業側では何を行うのか

企業側から見た社債発行は、単に利率を決めて販売するだけではありません。

会社法では、募集社債を発行する際に、募集総額、各社債の金額、利率、償還方法・期限、利息の支払方法・期限、払込金額などの事項を定めることが規定されています。

一般的な公募社債では、おおむね次のような準備が進められます。

  1. 必要な資金額や資金使途を検討する
  2. 主幹事証券会社などと発行計画を調整する
  3. 年限、発行額、利率の考え方などを検討する
  4. 必要に応じて信用格付けを取得する
  5. 会社法に基づき募集社債の条件を決定する
  6. 金融商品取引法に基づく有価証券届出書・発行登録追補書類など必要な開示を行う
  7. 投資家への需要調査などを踏まえて最終条件を決定する
  8. 募集・払込みを行い社債を発行する
  9. 発行後は利払い、情報開示、満期時の償還などを行う

実際の手続きは公募・私募、発行額、発行体の開示状況などによって異なります。

社債発行は株価に影響する?増資との違いを理解しよう

普通社債を発行したからといって、必ず株価が上がる・下がるという関係はありません。

通常の社債は企業の「負債」による資金調達です。普通株式を新たに発行する増資とは異なり、普通社債の発行だけで発行済み普通株式数が増えるわけではないため、通常は直接的な株式の希薄化は起こりません。

ただし、社債発行によって有利子負債や将来の利払い負担が増えるため、発行額や企業の財務状態によっては投資家が財務リスクを意識する可能性があります。

反対に、調達した資金を成長投資や収益性の高い事業に活用できるとの期待が高まれば、企業価値への評価がプラスに働くケースも考えられます。

つまり株価への影響を見るときには、「社債を発行した」という事実だけでなく、発行額、金利負担、資金使途、財務状況、格付けへの影響を確認する必要があります。

なお、株式へ転換できる転換社債(CB)は普通社債とは異なります。CBが株式に転換されると発行済み株式数が増え、既存株主の持分が希薄化する可能性があります。

社債発行予定2026年版|トヨタファイナンスとソフトバンクを確認

社債の募集条件は随時更新されるため、以下は2026年8月27日時点で公表されている内容です。購入を検討する場合は必ず最新の発行条件や目論見書を確認してください。

トヨタファイナンス「TOYOTA Wallet つむぐボンド」

トヨタファイナンスは2026年8月18日、第2回無担保セキュリティトークン社債「TOYOTA Wallet つむぐボンド」の募集を開始しました。

年限1年
募集金額10億円
利率年1.720%(税引前)
申込可能金額10万円~9,990万円、10万円単位
抽選申込期間2026年8月18日~9月2日17時
払込日2026年10月27日
償還日2027年10月27日
信用格付けAAA(JCR)

この社債はブロックチェーン技術を利用したセキュリティトークン社債です。トヨタファイナンスによる自己募集のため、銀行預金口座など所定の条件を満たせば証券口座を開設せずに申し込める仕組みとなっています。

一方で、公式案内では原則として満期前に売却できないとされています。1年間使用する予定のない資金かどうかを確認したうえで判断する必要があります。

ソフトバンクグループは2026年9月に個人向け社債を予定

ソフトバンクグループ株式会社は2026年8月24日、第70回無担保普通社債「福岡ソフトバンクホークスボンド」の発行予定を公表しました。

発行総額1兆円
購入単位100万円
年限7年
利率2026年8月27日時点では未定。仮条件は年4.30~4.90%
条件決定予定日2026年9月4日
申込期間2026年9月7日~9月16日
払込期日2026年9月17日
償還期限2033年9月16日
取得予定格付けA(JCR)

主に個人投資家を対象とした国内一般募集ですが、担保・保証は付されていません。仮条件の利率だけでなく、7年間という期間や発行体の信用リスクを含めて確認する必要があります。

「ソフトバンク」と「ソフトバンクグループ」の社債は別物

社債情報を見る際に特に注意したいのが、ソフトバンク株式会社とソフトバンクグループ株式会社は別の会社だという点です。

通信事業などを展開するソフトバンク株式会社も社債を発行しており、2026年5月には第33回無担保社債を年1.844%、第34回を年2.587%、第35回を年3.589%で発行しています。

一方、2026年9月に発行予定の第70回「福岡ソフトバンクホークスボンド」はソフトバンクグループ株式会社が発行する社債です。企業名が似ていても発行体、格付け、財務状況、利率が異なるため、必ず正式な発行会社名を確認してください。

また、ソフトバンク株式会社には「社債型種類株式」という商品もありますが、名称に「社債型」と付いていても会社法上は株式です。通常の社債とは商品性や税務上の扱いが異なります。

まとめ|社債は利回りだけでなく格付け・期間・換金性まで確認しよう

社債は、企業に資金を貸し、契約に基づいて利息を受け取り、満期時に元本の償還を受ける金融商品です。固定利付社債では受取利息を予測しやすい一方、銀行預金のような元本保証商品ではありません。

特に重要なのは、利率だけで判断しないことです。社債の利回りが高い場合には、期間の長さ、信用リスク、劣後性など何らかの条件が反映されている可能性があります。

購入前には、発行体、信用格付け、償還期限、最低購入金額、中途売却の可否、税引後の利回り、目論見書のリスク情報を確認しましょう。また、個別の社債は現在のNISAの対象外です。

2026年にはトヨタファイナンスの10万円から申し込めるセキュリティトークン社債や、ソフトバンクグループの大型個人向け社債なども登場しています。社債は商品ごとに条件が大きく異なるため、「会社名を知っている」「利率が高い」という理由だけではなく、自分が満期まで保有できる資金かどうかも含めて比較することが大切です。

<参考サイト>
金融庁 / 国税庁 / 日本証券業協会 / J-FLEC(金融経済教育推進機構) / e-Gov法令検索 / 株式会社日本格付研究所(JCR) / トヨタファイナンス株式会社 / TOYOTA Wallet / ソフトバンク株式会社 / ソフトバンクグループ株式会社 / 東京証券取引所